江東区合気会の会員の方の古くからの知人に、Gleisdreieckの道場を紹介していただき、ベルリン滞在中の3か月間通いました。偶然にも、私が通う語学学校から歩いて徒歩5分の場所にあったため、週に3、4回のペースで通いました。この3か月間は、日本にいる時よりも合気道の稽古をしたと思います。

 稽古は日曜日以外、毎日ありました。朝と夜の時間帯で設けられていて、私は語学学校が17:00に終わるため、夜の時間帯の稽古に通いました。大体どの曜日も多いときは14,5人いて、特に女性が多い印象を受けました。

 ここの道場はUlrikeという女性の先生とMaxという男性の先生が中心に指導していて、ほかに週に1、2回ほど別の男性と女性の指導者が二人いらっしゃいました。なので、女性も多いのかなと思います。実際、Ulrike先生の稽古は半数以上が女性の場合も多くありました。

 Max先生は佐久の国際研修会に何度か行ったことがあるということで、「佐久道場は酒道場だけど、ここも酒道場だよ」と最初に説明された記憶があります。というのも、道場に備え付けの冷蔵庫には常にビールが用意されていて、お金を払えば、稽古後にいつでも何本でもおいしいドイツビールが飲めるという、なんとも贅沢な道場でした。江東区合気会に所属する者として、なんとも嬉しい環境でした。このビールも日本で飲んだことがない銘柄で、汗をかいたあとの一杯にふさわしい、さわやかな味わいのへレスビールでした。

 まじめな合気道の話に戻りますと、稽古内容は本部に近いやり方だと思います。正面打ちのやり方が異なるため、最初はとても戸惑いました。Max先生に「遠藤先生は相半身だけど本部は逆半身のはずだよ」と言われました。こちらでは、はじめの構えが相手に対して逆半身のかたちをとり、そこから後ろの足を一歩出して正面打ちをします。大学で合気道を始めてから、相半身のかたちから前の足を一歩出して正面打ちをする、という方法しかしたことがありませんでした。最終的には同じ相半身のかたちになりますが、最初の一歩が違うということの衝撃が大きかったです。

 そのほか、見たことない型が多く、毎回驚きの連続でした。また、稽古中の説明がとても多く、一つ一つ丁寧に説明している印象を受けました。先生方は、特に「コンタクト」、「中心」、「受け身」について何度も説明されていました。どこの国にいっても、受け身の取り方を教えるのは難しいなと思いました。

 普通の合気道の稽古のほかに、剣術のクラスもありました。私の資金の都合上、剣術クラスに参加することはできませんでしたが、週一回の武器のクラスには参加しました。私が滞在していた期間中は杖の稽古が行われていました。杖の持ち方や型など、少しだけですが、一から学ぶことができたのでとても助かりました。ほかに、短刀や木剣も週替わりで行うということでした。ドイツでは初段の昇段審査で、短刀、木剣、杖のすべてを行うそうです。このことを聞いた時、日本で昇段審査を受けて本当に良かったと心の底から思いました。

 こちらの道場に通われている方の中で、特にブラジル出身の女性(ご両親は台湾出身)に良くしていただきました。なんとこの方、ポルトガル語、スペイン語、フランス語、英語、ドイツ語、イタリア語を話すことができるというとてもすごい人でした。ちなみに、将来的には日本語も勉強したいそうです。語学の天才といわれる人は、こういう人のことを指すのだと強く思いました。

 私が東京の江東区合気会に所属していて、師範は遠藤先生だと伝えると、遠藤先生のことはもちろん知っているとのことでした。余談ですが、ドイツにきて自己紹介の際に、江東区合気会に所属して稽古をしていると話しても全く伝わりませんが、遠藤先生に師事している道場だと説明すると「Seishiro Endo sensei!!」と感嘆の声があがります。

 このブラジル出身の女性に、ベルリン在住で同じく遠藤先生門下の日本人が友達にいるよといわれました。下の名前しかわからないということでしたが、なんとその日本人と連絡を取ってくれ、数日後、一枚のチラシを渡されました。そのチラシというのが遠藤先生のフィンランド講習会のチラシで、そこにその日本人の方の名前とメールアドレス、あと青志会の名前が記載されていました。ベルリンにきて、まさか青志会の方と知り合いになるとは思いませんでした。この方は、ベルリンではGleisdreieckとは別の道場に所属しているということで、週に1回ほどそちらの道場にも通うことになりました。指導者がフランス出身の先生のため、Gleisdreieckの道場とはまた違う合気道で、とても興味深かったです。こちらの道場の内容はレポート②で。

Gleisdreieckの道場のHP
https://www.aikido-dojo-gleisdreieck.de/de/